ギリシャ神話
農業の女神デメテル
おとめ座は左手に麦の穂を持っており、農業の女神の姿ともいわれています。
ギリシャ神話に登場する農業の女神デメテル(デーメテール、またはデーメーテールともいいます)は、大神ゼウスとの間に娘のペルセポネをもうけていました。
あるとき冥界の王ハデスに見初められたペルセポネは、外で花を摘んでいるときにハデスにより冥界へ連れさらわれてしまいます。
自分の娘がさらわれたデメテルは悲しみ涙にくれる日々を送りました。
農業の女神が悲しむことで、地上の作物は実らなくなってしまいました。
天の世界からこれを見ていたゼウスはハデスに対してペルセポネを帰すように命じ、ハデスはそれに従います。
ペルセポネが帰宅しデメテルが笑顔になると、再び大地に緑が戻りました。
しかしハデスは地上に戻るペルセポネにザクロの実を持たせていました。
実は冥界の物を口にしてしまうと、冥界で暮らさなくてはならなくなるのです。
ペルセポネはザクロの実を数粒食べてしまったため、一年のうち4ヶ月を冥界で暮らさなくてはならなくなりました。
ペルセポネが冥界で暮らす4ヶ月の間はデメテルが悲しみ、地上は再び冬となります。
しかしペルセポネが地上に戻ってくると冬が終わり、草木が芽吹いて春が訪れます。
これが季節の誕生だといわれています。
正義の女神アストラエア
おとめ座はデメテルの姿であるという話が有名ですが、そのほかにも正義の女神アストラエアが星座になったともいわれます。
その昔「金の時代」と呼ばれる時は、人々が争うこともない平和な時代でした。
自然の恵みが豊富で、人々は働くこともなく野山の果実を取って生活していました。
時代がくだって「銀の時代」と呼ばれる頃になると、四季の区別が生じたため人々は自ら食べ物を作らねばならなくなりました。
人の数が増え、食べ物も豊富ではなくなると、次第に人間たちは争うようになります。
すると人間を見限った神たちは一人、また一人と天の世界へ帰っていきます。
しかしアストラエアだけは、人間たちを信じ地上の世界に残り続けました。
時代が進み「銅の時代」になると人間の争いが激化し、やがて戦争が起こります。
するとアストラエアはとうとう人間を見限り、天の世界へ帰って星座となりました。
彼女は人間の善悪を測るために天秤を使っていたといわれていますが、それも同時に星座になりました。
ちなみにてんびん座は、おとめ座の足下にあります。
アストラエアと天の川
天の世界へ帰ってしまったアストラエア。
ギリシャでは彼女が天の川を作った、というお話があるそうです。
アストラエアは天の世界へ帰る際、袋いっぱいに麦の穂をつめて天に昇りました。
しかし人間たちは彼女の持つ袋に穴をあけてしまいました。
天へ昇っている最中、麦の穂はどんどん落ちていき、到着したときには麦が一つしか残っていなかったそうです。
そして彼女がこぼした麦は、天の川になりました。
参考
・ギリシャ神話
・星の辞典
・星座の神話
・春の星座博物館
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